肺動脈原発肉腫に対して外科的治療を施行した1例

62歳女性.労作時の息切れが急速増悪し,心エコーでTRPG 75 mmHgであることから慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)を疑われた.肺動脈造影とCTで肺動脈の中枢から末梢にかけて広範囲の可動性のある腫瘤像を認め,急速に悪化した経過と形態,およびFDG-PETで異常集積がみられたことから肺動脈原発腫瘍が疑われた.予後は不良であると予測されたが,突然死の可能性があり,肺や他の臓器への転移は認められず,耐術可能と思われたので,術後早期に化学療法を行うこととして,腫瘍切除術を適応した.CTEPHに準じ,低体温循環停止法を併用して肺動脈内に充満した腫瘍を摘出し,原発部位と思われた肺動脈弁も切除した...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 49; no. 6; pp. 366 - 369
Main Authors 四條, 崇之, 西山, 正行, 松田, 均, 清家, 愛幹, 上原, 京勲, 佐々木, 啓明, 井上, 陽介, 陽川, 孝樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2020
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.49.366

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Summary:62歳女性.労作時の息切れが急速増悪し,心エコーでTRPG 75 mmHgであることから慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)を疑われた.肺動脈造影とCTで肺動脈の中枢から末梢にかけて広範囲の可動性のある腫瘤像を認め,急速に悪化した経過と形態,およびFDG-PETで異常集積がみられたことから肺動脈原発腫瘍が疑われた.予後は不良であると予測されたが,突然死の可能性があり,肺や他の臓器への転移は認められず,耐術可能と思われたので,術後早期に化学療法を行うこととして,腫瘍切除術を適応した.CTEPHに準じ,低体温循環停止法を併用して肺動脈内に充満した腫瘍を摘出し,原発部位と思われた肺動脈弁も切除した後,肺動脈弁置換術と肺動脈修復術を施行した.病理診断は肺動脈原発肉腫(High grade sarcoma)であった.術後,肺動脈圧は正常化し,化学療法を施行されたが,6カ月後に被殻出血で死亡した.稀な肺動脈原発肉腫の1例を文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.49.366