トラスツズマブ単剤療法が奏効している重症心身障害者再発乳癌の1例

症例は45歳,重症心身障害者女性.右乳癌に対しBt+Axを施行.術後診断はアポクリン癌,Stage IIB,ER(0%),PgR(0%),HER 2(3+).術後2年目に右腋窩~鎖骨上リンパ節転移が出現.3週毎トラスツズマブ療法を開始し,3カ月後の評価ではPRで以後効果を維持している.CLEOPATRA試験の結果を受けた我が国の乳癌診療ガイドラインでは,HER 2陽性再発乳癌に対し,ペルツズマブ・トラスツズマブ・ドセタキセルの3剤併用療法が推奨されているが,本症例では3剤併用に対する忍容性の評価が困難であったため,トラスツズマブ単剤療法からの開始とした.重症者乳癌診療においては診断から治療に至...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 9; pp. 2170 - 2174
Main Authors 赤羽, 弘充, 芝木, 泰一郎, 池上, 淳, 稲垣, 光裕, 中野, 詩朗, ●田, 尚之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2170

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Summary:症例は45歳,重症心身障害者女性.右乳癌に対しBt+Axを施行.術後診断はアポクリン癌,Stage IIB,ER(0%),PgR(0%),HER 2(3+).術後2年目に右腋窩~鎖骨上リンパ節転移が出現.3週毎トラスツズマブ療法を開始し,3カ月後の評価ではPRで以後効果を維持している.CLEOPATRA試験の結果を受けた我が国の乳癌診療ガイドラインでは,HER 2陽性再発乳癌に対し,ペルツズマブ・トラスツズマブ・ドセタキセルの3剤併用療法が推奨されているが,本症例では3剤併用に対する忍容性の評価が困難であったため,トラスツズマブ単剤療法からの開始とした.重症者乳癌診療においては診断から治療に至るまで,様々な制限や障壁が現実に存在する.このため,健常者向けの診療ガイドラインに沿っての方針決定は難しく,症例個々の背景を含めて熟慮したうえでの方針決定が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2170