非特異的な微小病変で発症した二次性小腸結核穿孔の1例

症例は86歳,男性.21年来の糖尿病治療歴と半年前からの血液透析などの既往がある.前日まで普通に生活していたが,突然発症した腹痛で救急搬送された.腹部CT検査で腹腔内遊離ガスと下腹部腹腔内膿瘍が認められ,胸部CT検査では気管支肺炎と考えられる多数の小粒状影を両側肺に認めた.緊急手術を行い,空腸腸間膜対側に径1mmの穿孔部位と腸間膜に多数の白色小結節を認めた.特発性小腸穿孔と考え小腸部分切除を行った.摘出標本の病理検査で腸結核と診断され,喀痰の結核菌DNA検査で陽性となったため二次性小腸結核と診断された.腸結核の穿孔は稀ではあるが,糖尿病や血液透析患者など免疫力が低下している患者の原因不明の腸管...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1710 - 1714
Main Authors 西村, 一宣, 松山, 悟, 原, 雅雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1710

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Summary:症例は86歳,男性.21年来の糖尿病治療歴と半年前からの血液透析などの既往がある.前日まで普通に生活していたが,突然発症した腹痛で救急搬送された.腹部CT検査で腹腔内遊離ガスと下腹部腹腔内膿瘍が認められ,胸部CT検査では気管支肺炎と考えられる多数の小粒状影を両側肺に認めた.緊急手術を行い,空腸腸間膜対側に径1mmの穿孔部位と腸間膜に多数の白色小結節を認めた.特発性小腸穿孔と考え小腸部分切除を行った.摘出標本の病理検査で腸結核と診断され,喀痰の結核菌DNA検査で陽性となったため二次性小腸結核と診断された.腸結核の穿孔は稀ではあるが,糖尿病や血液透析患者など免疫力が低下している患者の原因不明の腸管穿孔においては,輪状潰瘍や狭窄などの典型的な所見を認めなくても,腸結核を念頭に置き治療にあたる必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1710