術後21年目にびまん性肝転移を発症した乳癌の1例

患者は74歳,女性.1992年に左乳癌に対してPatey法を施行.浸潤性小葉癌 T2N2M0,stage IIIA,ER(+),PgR(+)であった.術後内分泌療法を行うも,術後4年目に骨転移が出現した.5-FU内服で経過をみていたが,2006年には骨転移の増悪があり,パクリタキセルとゾレドロン酸点滴で外来治療を行っていた.術後21年目にあたる2013年に全身倦怠感と易疲労感の訴えがあり,採血で著明なトランスアミラーゼの上昇を認めた.画像検査では,明らかな腫瘤病変は指摘されないものの肝機能障害は悪化してDICの状態となり,肝生検を行った結果,浸潤性小葉癌のびまん性肝転移の診断に至った.原病に対...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 6; pp. 1341 - 1346
Main Authors 緒方, 晴樹, 寺島, 裕夫, 岸田, 由起子, 竹島, 雅子, 下里, あゆ子, 村田, 祐二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1341

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Summary:患者は74歳,女性.1992年に左乳癌に対してPatey法を施行.浸潤性小葉癌 T2N2M0,stage IIIA,ER(+),PgR(+)であった.術後内分泌療法を行うも,術後4年目に骨転移が出現した.5-FU内服で経過をみていたが,2006年には骨転移の増悪があり,パクリタキセルとゾレドロン酸点滴で外来治療を行っていた.術後21年目にあたる2013年に全身倦怠感と易疲労感の訴えがあり,採血で著明なトランスアミラーゼの上昇を認めた.画像検査では,明らかな腫瘤病変は指摘されないものの肝機能障害は悪化してDICの状態となり,肝生検を行った結果,浸潤性小葉癌のびまん性肝転移の診断に至った.原病に対する治療を行うも,既に肝不全の状態であり,入院から16日目(肝生検施行から11日目)という短期間で永眠した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1341