FDG-PET/CTにてリング状集積を認めた腹腔内異物肉芽腫の1例

症例は61歳,女性.左下腹部痛を主訴に受診.20年前に子宮全摘術・両側付属器切除術の既往がある.血液検査では炎症反応上昇(WBC 11,900/mm3,CRP 14.1mg/dl),腫瘍マーカーは正常範囲内であり,CT検査ではS状結腸に接して壁外に突出する4cm大の腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査では肛門縁20cm以降は挿入不能であったが,造影検査ではS状結腸の狭窄像を認めた.FDG-PET/CTではS状結腸にSUVmax 14.6の強いリング状集積を認めた.病歴も踏まえ,異物肉芽腫を最も疑ったが,悪性腫瘍も考慮してリンパ節郭清を含むS状結腸切除術を施行した.腫瘤はS状結腸間膜内に認め,腸管...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 1959 - 1962
Main Authors 笹原, 孝太郎, 小口, 和浩, 樋口, 佳代子, 井出, 大志, 田内, 克典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1959

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Summary:症例は61歳,女性.左下腹部痛を主訴に受診.20年前に子宮全摘術・両側付属器切除術の既往がある.血液検査では炎症反応上昇(WBC 11,900/mm3,CRP 14.1mg/dl),腫瘍マーカーは正常範囲内であり,CT検査ではS状結腸に接して壁外に突出する4cm大の腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査では肛門縁20cm以降は挿入不能であったが,造影検査ではS状結腸の狭窄像を認めた.FDG-PET/CTではS状結腸にSUVmax 14.6の強いリング状集積を認めた.病歴も踏まえ,異物肉芽腫を最も疑ったが,悪性腫瘍も考慮してリンパ節郭清を含むS状結腸切除術を施行した.腫瘤はS状結腸間膜内に認め,腸管内への穿通を伴っていた.腫瘤内部には線維性人工物と膿瘍を認めたため,異物肉芽腫と診断した.腹腔内異物肉芽腫の術前診断は難しいが,FDG-PET/CTのリング状集積はその参考所見として注目すべきと考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1959