Endurant II ステントグラフト内挿術後早期に高度左脚狭窄を生じた1例

狭小腹部大動脈終末部を伴った囊状腹部動脈瘤に対し,Endurant IIステントグラフトシステムを用いた腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)後早期に脚狭窄を来たし再治療を要した1例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.Reversed taper状かつ屈曲を有する中枢neck,細い腹部大動脈終末部,太い下腸間膜動脈を伴った巨大囊状腹部大動脈瘤に対して,Endurantを用いたEVARを施行した.術中,狭小腹部大動脈終末部で右側脚は二重に,左側脚は一重になったため,左側脚内にself-expandable stentを予防的に留置した.初回術後4日目に,跛行症状は認めなかったものの,左A...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 283 - 287
Main Authors 夜久, 均, 川尻, 英長, 神田, 圭一, 坂井, 修, 山本, 経尚, 渡辺, 太治, 岡, 克彦, 山崎, 祥子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.283

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Summary:狭小腹部大動脈終末部を伴った囊状腹部動脈瘤に対し,Endurant IIステントグラフトシステムを用いた腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)後早期に脚狭窄を来たし再治療を要した1例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.Reversed taper状かつ屈曲を有する中枢neck,細い腹部大動脈終末部,太い下腸間膜動脈を伴った巨大囊状腹部大動脈瘤に対して,Endurantを用いたEVARを施行した.術中,狭小腹部大動脈終末部で右側脚は二重に,左側脚は一重になったため,左側脚内にself-expandable stentを予防的に留置した.初回術後4日目に,跛行症状は認めなかったものの,左ABIは0.88と低下し,CT上ステントグラフト左脚が,狭小腹部大動脈終末部で右脚により圧排され高度狭窄を呈していた.そのため初回術後14日目にballoon-expandable stentを用いたkissing stentによる血管内治療で狭窄を解除し,左ABIは0.99と改善した.再手術後15カ月経過した現在,再狭窄やABIの低下なく経過している.終末部腹部大動脈径が細い症例に対しEndurantを選択した場合には,脚狭窄を生じる可能性があり注意が必要である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.283