右側大動脈弓症例に発生した穿孔性胸部食道癌の1例

症例は67歳,男性.39℃の発熱と右側胸部痛を主訴に近医を受診.肺炎と診断,加療目的に当院紹介となる.胸部上部食道癌穿孔による縦隔炎と診断され,約1カ月の治療の後,手術の運びとなる.術前検査の結果,右側大動脈弓(Edward IIIB型)を合併する胸部上部食道癌,cT4,cN2,cM0,cStage IVaと診断し,胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した.右肺癌の既往で上葉切除後であること,穿孔による縦隔炎で右上縦隔の正常解剖の把握が困難と考え頸部操作にて右反回神経を同定してから胸部操作を開始した.術前の画像診断により安全に手術が施行できたが,右気管支への直接浸潤があり根治性が得られないことから,上縦...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 6; pp. 1410 - 1416
Main Authors 田中, 千弘, 河合, 雅彦, 國枝, 克行, 深田, 真宏, 長尾, 成敏, 仁田, 豊生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1410

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Summary:症例は67歳,男性.39℃の発熱と右側胸部痛を主訴に近医を受診.肺炎と診断,加療目的に当院紹介となる.胸部上部食道癌穿孔による縦隔炎と診断され,約1カ月の治療の後,手術の運びとなる.術前検査の結果,右側大動脈弓(Edward IIIB型)を合併する胸部上部食道癌,cT4,cN2,cM0,cStage IVaと診断し,胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した.右肺癌の既往で上葉切除後であること,穿孔による縦隔炎で右上縦隔の正常解剖の把握が困難と考え頸部操作にて右反回神経を同定してから胸部操作を開始した.術前の画像診断により安全に手術が施行できたが,右気管支への直接浸潤があり根治性が得られないことから,上縦隔の郭清・頸部郭清は行わず胸骨後胃管再建を行った.右側大動脈弓を合併した食道癌では術中の反回神経,重要血管の同定が困難であるため術前の十分な画像診断を行い,術式を検討することが重要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1410