腹腔鏡下に治療した血友病B患者の上行結腸癌・小腸GIST同時性重複の1例

患者は77歳,男性.以前家族性血友病Bの診断を受けたが,その後フォローアップを受けていなかった.下血主訴に前院へ救急搬送となり,Hb値3.5g/dlの高度の貧血を認めた.下部消化管内視鏡検査で上行結腸の2型進行癌と診断された.腫瘍出血に対し,血友病医療のガイドラインに従い血液凝固因子の補充を行い,当院へ搬送となった.搬送後に撮影したCT検査で小腸間膜に腫瘤も認め,小腸GISTを疑った.単孔式腹腔鏡下結腸右半切除および小腸部分切除術を行った.術中,術後ともに出血のエピソード無く経過し,術後7日目に転院となった. 血友病に対する腹腔鏡下手術の報告は少ない.単孔式腹腔鏡下結腸右半切除は血友病B患者に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 9; pp. 2532 - 2535
Main Authors 今村, 清隆, 岡田, 尚也, 高田, 実, 南野, 佳英, 嶋口, 万友, 中村, 文隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.2532

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Summary:患者は77歳,男性.以前家族性血友病Bの診断を受けたが,その後フォローアップを受けていなかった.下血主訴に前院へ救急搬送となり,Hb値3.5g/dlの高度の貧血を認めた.下部消化管内視鏡検査で上行結腸の2型進行癌と診断された.腫瘍出血に対し,血友病医療のガイドラインに従い血液凝固因子の補充を行い,当院へ搬送となった.搬送後に撮影したCT検査で小腸間膜に腫瘤も認め,小腸GISTを疑った.単孔式腹腔鏡下結腸右半切除および小腸部分切除術を行った.術中,術後ともに出血のエピソード無く経過し,術後7日目に転院となった. 血友病に対する腹腔鏡下手術の報告は少ない.単孔式腹腔鏡下結腸右半切除は血友病B患者においても安全に施行可能で,出血を抑えた有用な術式である可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2532