頸部迷走神経鞘腫手術症例の検討

2005年4月から2014年3月までの間に当科で被膜間摘出術を施行した31例の頸部神経鞘腫のうち,迷走神経由来であった10例を対象とし検討を行った。術後に神経脱落症状を認めた症例は3例であった。2例で喉頭麻痺(嗄声・嚥下障害)が認められ,1例で喉頭麻痺(嗄声・嚥下障害)と咳嗽発作が認められた。喉頭麻痺だけを生じた2例は術前に神経症状を認めておらず,1例は永続性の声帯麻痺,1例は3か月で改善した。喉頭麻痺と咳嗽発作を生じた症例は,喉頭麻痺は3か月で改善したが咳嗽発作は改善しなかった。この症例は,術前から咳嗽発作のみが認められていた。 迷走神経由来の神経鞘腫は,摘出により嗄声,嚥下障害,咳嗽発作な...

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Published in頭頸部外科 Vol. 25; no. 1; pp. 29 - 33
Main Authors 江川, 峻哉, 藤居, 直和, 河村, 陽二郎, 北田, 良裕, 小林, 斉, 嶋根, 俊和, 池谷, 洋一, 中村, 泰介, 櫛橋, 幸民, 下鑪, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2015
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.25.29

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Summary:2005年4月から2014年3月までの間に当科で被膜間摘出術を施行した31例の頸部神経鞘腫のうち,迷走神経由来であった10例を対象とし検討を行った。術後に神経脱落症状を認めた症例は3例であった。2例で喉頭麻痺(嗄声・嚥下障害)が認められ,1例で喉頭麻痺(嗄声・嚥下障害)と咳嗽発作が認められた。喉頭麻痺だけを生じた2例は術前に神経症状を認めておらず,1例は永続性の声帯麻痺,1例は3か月で改善した。喉頭麻痺と咳嗽発作を生じた症例は,喉頭麻痺は3か月で改善したが咳嗽発作は改善しなかった。この症例は,術前から咳嗽発作のみが認められていた。 迷走神経由来の神経鞘腫は,摘出により嗄声,嚥下障害,咳嗽発作などをきたす可能性があり,術後患者のQOLに重大な影響を及ぼすため,手術には十分なインフォームドコンセントと手術経験が必要と考えられる。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.25.29