ECMOを導入して手術を行った間質性肺炎合併難治性気胸の1例

間質性肺炎を伴う難治性続発性気胸に対し,体外式膜型人工肺(ECMO)を用いて手術治療を行った症例を報告する.症例は66歳,女性.分類不能型間質性肺炎に対して在宅管理中,左緊張性気胸を呈して緊急入院.胸膜癒着療法や気管支鏡下気管支充填術を繰り返すも肺瘻閉鎖に至らず,手術の方針とした.術中に陽圧換気での右側気胸発症,換気量確保困難の危険性が懸念されたため,ECMOを用いた呼吸循環管理を予定した.その導入や管理について関連診療科・部署と十分に協議した後,手術を施行.まず,血管造影室で静脈脱血-動脈送血のECMOを確立.手術室へ搬送し,右半側臥位で胸腔鏡補助下ブラ切除術を行った.術後は手術室でECMO...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 8; pp. 1454 - 1459
Main Authors 中村, 龍二, 松浦, 求樹, 久保, 友次郎, 岡田, 真典, 藤原, 俊哉, 岡田, 和大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1454

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Summary:間質性肺炎を伴う難治性続発性気胸に対し,体外式膜型人工肺(ECMO)を用いて手術治療を行った症例を報告する.症例は66歳,女性.分類不能型間質性肺炎に対して在宅管理中,左緊張性気胸を呈して緊急入院.胸膜癒着療法や気管支鏡下気管支充填術を繰り返すも肺瘻閉鎖に至らず,手術の方針とした.術中に陽圧換気での右側気胸発症,換気量確保困難の危険性が懸念されたため,ECMOを用いた呼吸循環管理を予定した.その導入や管理について関連診療科・部署と十分に協議した後,手術を施行.まず,血管造影室で静脈脱血-動脈送血のECMOを確立.手術室へ搬送し,右半側臥位で胸腔鏡補助下ブラ切除術を行った.術後は手術室でECMOから離脱し,術後3日目に胸腔ドレーンを抜管できた.難治性続発性気胸の手術では,術中呼吸循環管理が問題となる.ECMO併用という経験の乏しい手術を円滑かつ安全に遂行する上で,関連部署との連携は不可欠であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1454