自己免疫性膵炎に先行して発症し,IgG4関連疾患と考えられた肝病変の一例

症例は60歳代の女性.肝に結節性病変を指摘され,当院を受診した.超音波検査では径1.5 cmの単発性腫瘍を認めたが,他の画像検査では腫瘍径は大きく,病変は多発性であった.入院時の検査で胃癌を認め開腹術が行われ,肝病変も同時に切除された.切除標本では,腫瘍として認識された部位には白色小結節が集簇していた.組織学的には門脈域にリンパ濾胞を伴う炎症細胞浸潤を認め,門脈や中心静脈に閉塞性静脈炎を認めた.手術約1年後に自己免疫性膵炎が発症し,肝病変もIgG4関連疾患の一部と考えられた.IgG4関連疾患は近年その概念が確立されたが,肝病変の報告は少なく不明な点が多い.本症例はIgG4関連肝疾患として貴重な...

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Published in肝臓 Vol. 57; no. 5; pp. 233 - 241
Main Authors 林, 由浩, 大橋, 生嗣, 山下, 信行, 宮川, 弘, 西浦, 三郎, 宮城, 友豪, 野村, 秀幸, 山元, 英崇, 谷本, 博徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2016
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.57.233

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Summary:症例は60歳代の女性.肝に結節性病変を指摘され,当院を受診した.超音波検査では径1.5 cmの単発性腫瘍を認めたが,他の画像検査では腫瘍径は大きく,病変は多発性であった.入院時の検査で胃癌を認め開腹術が行われ,肝病変も同時に切除された.切除標本では,腫瘍として認識された部位には白色小結節が集簇していた.組織学的には門脈域にリンパ濾胞を伴う炎症細胞浸潤を認め,門脈や中心静脈に閉塞性静脈炎を認めた.手術約1年後に自己免疫性膵炎が発症し,肝病変もIgG4関連疾患の一部と考えられた.IgG4関連疾患は近年その概念が確立されたが,肝病変の報告は少なく不明な点が多い.本症例はIgG4関連肝疾患として貴重な症例と思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.57.233