抗菌薬投与中にもかかわらず,創部に遺残した異物からClostridium tetaniが分離された破傷風の1例
症例は60歳,男性。畑仕事中に竹箒で左前腕外側を受傷した。受傷9日後より左上肢の筋緊張,頸部後屈,開口障害が出現し,翌日当院へ紹介となった。破傷風と診断し,抗菌薬や破傷風トキソイドワクチン,および破傷風ヒト免疫グロブリン製剤の投与を行った。受傷部は既に痂皮化し,軽度の発赤,腫脹,熱感がみられるのみであったが,腫脹が続いたため第4病日に切開したところ,径10 mm×3 mmの竹片が摘出された。竹片の嫌気性培養にてClostridium tetaniが分離された。鎮静下に循環,呼吸器管理を行い,第55病日にリハビリテーション目的で転院した。Clostridium tetaniが分離培養されることは...
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Published in | 日本集中治療医学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 167 - 169 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本集中治療医学会
2016
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ISSN | 1340-7988 1882-966X |
DOI | 10.3918/jsicm.23.167 |
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Summary: | 症例は60歳,男性。畑仕事中に竹箒で左前腕外側を受傷した。受傷9日後より左上肢の筋緊張,頸部後屈,開口障害が出現し,翌日当院へ紹介となった。破傷風と診断し,抗菌薬や破傷風トキソイドワクチン,および破傷風ヒト免疫グロブリン製剤の投与を行った。受傷部は既に痂皮化し,軽度の発赤,腫脹,熱感がみられるのみであったが,腫脹が続いたため第4病日に切開したところ,径10 mm×3 mmの竹片が摘出された。竹片の嫌気性培養にてClostridium tetaniが分離された。鎮静下に循環,呼吸器管理を行い,第55病日にリハビリテーション目的で転院した。Clostridium tetaniが分離培養されることは稀とされているが,今回抗菌薬投与中にもかかわらず,異物より分離培養されており,摘出できていなければ症状が遷延や再増悪していた可能性がある。破傷風を疑った場合には,創部での異物遺残の可能性を考え,積極的なデブリードマンと洗浄を行うことが望ましいことを再認識させられた。 |
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ISSN: | 1340-7988 1882-966X |
DOI: | 10.3918/jsicm.23.167 |