C型慢性肝炎に合併したキャッスルマン病の1例

症例は48歳の男性.C型慢性肝炎に対し肝庇護療法を行い経過観察中に急激に腹水貯留,下腿浮腫,多発するリンパ節腫脹が出現し紹介受診となった.リンパ節生検の結果から多中心性キャッスルマン病と診断した.ステロイド投与により症状改善を認め,低アルブミン血症や血小板減少も改善を認めた.腹水の減少後に施行した肝生検で新犬山分類A1F2相当であり肝線維化の急激な進行は否定的であった.ステロイドは投与量を漸減し治療開始から約2年7カ月で投与を終了した.キャッスルマン病に対する治療終了から約2年後に,C型慢性肝炎に対して経口抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals:DAAs)の投与を行い,...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 9; pp. 494 - 503
Main Authors 留野, 渉, 桐越, 博之, 新倉, 利啓, 大橋, 健一, 奥寺, 康司, 斉藤, 聡, 中島, 淳, 米田, 正人, 今城, 健人, 結束, 貴臣, 小川, 祐二, 山中, 正二, 本多, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.494

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Summary:症例は48歳の男性.C型慢性肝炎に対し肝庇護療法を行い経過観察中に急激に腹水貯留,下腿浮腫,多発するリンパ節腫脹が出現し紹介受診となった.リンパ節生検の結果から多中心性キャッスルマン病と診断した.ステロイド投与により症状改善を認め,低アルブミン血症や血小板減少も改善を認めた.腹水の減少後に施行した肝生検で新犬山分類A1F2相当であり肝線維化の急激な進行は否定的であった.ステロイドは投与量を漸減し治療開始から約2年7カ月で投与を終了した.キャッスルマン病に対する治療終了から約2年後に,C型慢性肝炎に対して経口抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals:DAAs)の投与を行い,ウイルス学的著効を得た.C型慢性肝炎の経過中に急激に腹水貯留,浮腫,リンパ節腫脹を認めた場合にはキャッスルマン病等のリンパ増殖性疾患も鑑別に挙げる必要性を強く認識させられた啓発的な症例であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.494