劣性栄養障害型表皮水疱症を併存した乳癌に対して全身麻酔下で乳房切除を施行した1例
先天性表皮水疱症は,軽微な機械的刺激で皮膚や粘膜に容易に水疱を形成するまれな疾患であり,日常生活において皮膚・粘膜へのさまざまな刺激を避ける必要がある.特に麻酔・手術に際しては,気管内挿管による気管粘膜の障害に細心の注意を要する.今回,われわれは劣性栄養障害型表皮水疱症を合併した右乳癌に対して,気管内挿管による全身麻酔下で胸筋温存乳房切除術を施行しえた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例は55歳,女性.小児期より劣性栄養障害型表皮水疱症で当院皮膚科に通院していた.2010年6月に右乳房のしこりを自覚して,当科を受診した.精査にて右乳癌TisN0M0 Stage 0の診断で,気管...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 27 - 31 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.27 |
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Summary: | 先天性表皮水疱症は,軽微な機械的刺激で皮膚や粘膜に容易に水疱を形成するまれな疾患であり,日常生活において皮膚・粘膜へのさまざまな刺激を避ける必要がある.特に麻酔・手術に際しては,気管内挿管による気管粘膜の障害に細心の注意を要する.今回,われわれは劣性栄養障害型表皮水疱症を合併した右乳癌に対して,気管内挿管による全身麻酔下で胸筋温存乳房切除術を施行しえた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例は55歳,女性.小児期より劣性栄養障害型表皮水疱症で当院皮膚科に通院していた.2010年6月に右乳房のしこりを自覚して,当科を受診した.精査にて右乳癌TisN0M0 Stage 0の診断で,気管内挿管での全身麻酔下で手術を施行した.術後は,呼吸障害など認めず経過良好にて第4病日に退院した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.27 |