アデホビル長期投与中にFanconi症候群による低リン血性骨軟化症を発症したB型慢性肝炎の1例

症例は54歳の男性.2001年より,B型慢性肝炎に対してラミブジンによる治療を受けていたが,経過中にAST,ALTの上昇,HBV DNAの上昇を認められ,2004年よりアデホビルの併用が開始された.2012年7月より両胸郭・股関節痛を自覚したため前医を受診.採血にてALP高値と腎機能障害を認め,徐々に増悪したため精査加療目的に当科紹介となった.精査の結果,近位尿細管障害および腎性低リン血症を認め,骨シンチグラフィでは疼痛部位に一致したテクネシウムの異常集積を認めた.以上よりFanconi症候群および低リン血症性骨軟化症と診断し,原因としてアデホビルが疑われたため,同薬を中止しエンテカビルへ変更...

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Published in肝臓 Vol. 55; no. 3; pp. 162 - 169
Main Authors 保木, 寿文, 河野, 豊, 田中, 信悟, 佐藤, 康史, 加藤, 淳二, 宮西, 浩嗣, 小船, 雅義, 石川, 和真, 高田, 弘一, 田村, 文人, 櫻田, 晃, 佐藤, 勉, 林, 毅, 瀧本, 理修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2014
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.55.162

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Summary:症例は54歳の男性.2001年より,B型慢性肝炎に対してラミブジンによる治療を受けていたが,経過中にAST,ALTの上昇,HBV DNAの上昇を認められ,2004年よりアデホビルの併用が開始された.2012年7月より両胸郭・股関節痛を自覚したため前医を受診.採血にてALP高値と腎機能障害を認め,徐々に増悪したため精査加療目的に当科紹介となった.精査の結果,近位尿細管障害および腎性低リン血症を認め,骨シンチグラフィでは疼痛部位に一致したテクネシウムの異常集積を認めた.以上よりFanconi症候群および低リン血症性骨軟化症と診断し,原因としてアデホビルが疑われたため,同薬を中止しエンテカビルへ変更したところ,徐々に腎機能障害,骨痛の改善を認めた.アデホビルによるFanconi症候群は少数ながらも近年報告されている.しかし,治療から改善までの詳細な経過を示したものは無いので,本例の経過を報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.55.162