直腸癌術後リンパ節再発との鑑別を要した腸間膜炎症性偽腫瘍の1例

症例は52歳の女性.進行直腸癌に対して,腹腔鏡補助下低位前方切除術(D3郭清)を施行し,最終診断は,直腸癌Rb,pT4a N0 M0,pStage IIであった.術後10カ月の腹部超音波検査で,左総腸骨動脈前面に33mm大の腫瘤を指摘された.精査のPET/CTでは同部に異常集積を認め,リンパ節再発が疑われた.他に転移再発を疑う所見は認めなかったため,開腹腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は,前回手術で処理した上直腸動脈根部に位置しており,#252リンパ節再発と考えた.病理組織所見では,リンパ節構造は認めず,筋線維芽細胞系の紡錘形細胞が主体であった.悪性所見は認めなかった.腫瘤内に前回手術で血管処理に使...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 8; pp. 2011 - 2015
Main Authors 小林, 健二, 江本, 桂, 石田, 隆, 篠崎, 浩治, 木全, 大, 尾形, 佳郎, 寺内, 寿彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2011

Cover

More Information
Summary:症例は52歳の女性.進行直腸癌に対して,腹腔鏡補助下低位前方切除術(D3郭清)を施行し,最終診断は,直腸癌Rb,pT4a N0 M0,pStage IIであった.術後10カ月の腹部超音波検査で,左総腸骨動脈前面に33mm大の腫瘤を指摘された.精査のPET/CTでは同部に異常集積を認め,リンパ節再発が疑われた.他に転移再発を疑う所見は認めなかったため,開腹腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は,前回手術で処理した上直腸動脈根部に位置しており,#252リンパ節再発と考えた.病理組織所見では,リンパ節構造は認めず,筋線維芽細胞系の紡錘形細胞が主体であった.悪性所見は認めなかった.腫瘤内に前回手術で血管処理に使用した非吸収性クリップを2つ認めた.以上から炎症性偽腫瘍と診断した.術後1年半経過し,再発徴候は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2011