受傷1週間後に仮性動脈瘤を認め塞栓術を施行した小児脾損傷の1例
外傷による脾仮性動脈瘤形成の自然経過は明らかでない。今回,われわれは受傷後1週間で撮像した腹部造影CT検査で脾仮性動脈瘤を認めた症例を経験した。患者は8歳の女児で,遊戯施設で転倒して左側胸部を丸太で強打して受傷した。来院時の腹部造影CT検査で日本外傷学会損傷分類2008のⅢb型脾損傷と腹腔内出血があった。造影剤の血管外漏出はなく,循環動態は安定しており,非手術的治療(nonoperative management:NOM)の方針として入院した。入院後も循環動態は安定して推移した。受傷1週間後の腹部造影CT検査で脾内に仮性動脈瘤を認め,経カテーテル動脈塞栓術を施行した。受傷12日目に軽快退院し,...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 7; pp. 1191 - 1194 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2019
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.39.1191 |
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Summary: | 外傷による脾仮性動脈瘤形成の自然経過は明らかでない。今回,われわれは受傷後1週間で撮像した腹部造影CT検査で脾仮性動脈瘤を認めた症例を経験した。患者は8歳の女児で,遊戯施設で転倒して左側胸部を丸太で強打して受傷した。来院時の腹部造影CT検査で日本外傷学会損傷分類2008のⅢb型脾損傷と腹腔内出血があった。造影剤の血管外漏出はなく,循環動態は安定しており,非手術的治療(nonoperative management:NOM)の方針として入院した。入院後も循環動態は安定して推移した。受傷1週間後の腹部造影CT検査で脾内に仮性動脈瘤を認め,経カテーテル動脈塞栓術を施行した。受傷12日目に軽快退院し,2ヵ月間の運動制限を指示した。受傷後3ヵ月で外来通院を終了した。脾仮性動脈瘤の発生機序や自然経過は明らかでない点が多く,診断とその治療は定まっていない。今後も症例の蓄積が必要と考える。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.39.1191 |