右房穿破により急性心不全を発症した Valsalva 洞動脈瘤の1治験例

症例は65歳女性,労作時呼吸困難,下腿浮腫を主訴に近医を受診した.心不全と診断され精査目的で当院入院となった.入院時の胸部聴診で胸骨右縁第4肋間に連続性雑音を聴取した.経胸壁心エコー検査では右房,左房を圧迫する腫瘤を指摘された.胸部造影CT検査でValsalva洞動脈瘤を認め,大動脈造影検査でバルサルバ洞動脈瘤の右房穿破と診断された.また,冠動脈造影検査では右冠動脈 #1 75%狭窄,左冠動脈 #11に75%狭窄を指摘された.Valsalva洞動脈瘤の右房穿破を契機とした心不全と狭心症と診断,心不全コントロールが付かなかったため,準緊急手術を施行した.Valsalva洞動脈瘤は無冠尖弁輪を下縁...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 3; pp. 144 - 147
Main Authors 堤, 泰史, 門田, 治, 前田, 修作, 大橋, 博和, 上仲, 永純, 佐村, 高明, 沼田, 智, 山崎, 祥子, 白川, 岳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.144

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Summary:症例は65歳女性,労作時呼吸困難,下腿浮腫を主訴に近医を受診した.心不全と診断され精査目的で当院入院となった.入院時の胸部聴診で胸骨右縁第4肋間に連続性雑音を聴取した.経胸壁心エコー検査では右房,左房を圧迫する腫瘤を指摘された.胸部造影CT検査でValsalva洞動脈瘤を認め,大動脈造影検査でバルサルバ洞動脈瘤の右房穿破と診断された.また,冠動脈造影検査では右冠動脈 #1 75%狭窄,左冠動脈 #11に75%狭窄を指摘された.Valsalva洞動脈瘤の右房穿破を契機とした心不全と狭心症と診断,心不全コントロールが付かなかったため,準緊急手術を施行した.Valsalva洞動脈瘤は無冠尖弁輪を下縁とした開口部を持ち,右房に穿破していた.大動脈弁尖に器質的異常は認めなかったため,Valsalva洞動脈瘤開口部をパッチ閉鎖した.右房側の穿孔部位は直接閉鎖した.また,冠動脈バイパス術も併せて行った.術後経過は良好で心不全も速やかに改善し,術後25日目に軽快退院となった.今回の経験を文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.144