左肺上葉切除後に発見された肺静脈断端血栓症に対しリバーロキサバンによる抗凝固療法が奏功した1例

症例は71歳女性.左上葉肺癌に対し左上葉切除と縦隔リンパ節郭清を施行.術後経過良好であったが第23病日に胸部不快感を認めたため施行した胸部造影CTで左上肺静脈切除断端に径10 mm大の陰影欠損を認め肺静脈断端血栓症と診断した.静脈血栓塞栓症の治療指針を参照しリバーロキサバン内服による抗凝固療法を開始し血栓はほぼ消失した.肺静脈断端部血栓の危険因子である左上葉切除後には造影CTによる血栓検索が有用であり,血栓が認められた場合は速やかに適切な抗凝固療法をおこなうべきであるが,その治療法はまだ確立されていない.文献的考察を加え報告する....

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Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 7; pp. 877 - 880
Main Authors 喜多, 秀文, 恩田, 貴人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.877

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Summary:症例は71歳女性.左上葉肺癌に対し左上葉切除と縦隔リンパ節郭清を施行.術後経過良好であったが第23病日に胸部不快感を認めたため施行した胸部造影CTで左上肺静脈切除断端に径10 mm大の陰影欠損を認め肺静脈断端血栓症と診断した.静脈血栓塞栓症の治療指針を参照しリバーロキサバン内服による抗凝固療法を開始し血栓はほぼ消失した.肺静脈断端部血栓の危険因子である左上葉切除後には造影CTによる血栓検索が有用であり,血栓が認められた場合は速やかに適切な抗凝固療法をおこなうべきであるが,その治療法はまだ確立されていない.文献的考察を加え報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.877