当科で手術加療した鼻副鼻腔内反性乳頭腫18例の検討

2011年7月から2020年7月までに当科で手術加療を行った鼻副鼻腔内反性乳頭腫の18例について検討した。男性が14例,女性が4例で年齢の中央値は68歳であった。Krouse分類ではT1が2例,T2が4例,T3が11例,T4が1例であった。手術法としてはEndoscopic Sinus Surgery(ESS)単独が13例で,ESSと犬歯窩切開の併用が4例,ESSと鼻外前頭洞切開の併用が1例であった。鼻内内視鏡を施行した18例中2例(11%),CTを施行した18例中6例(33%),MRIを施行した16例中11例(69%)で術前に基部を推定できた。鼻内内視鏡,CT,MRIを組み合わせることにより...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 60; no. 2; pp. 146 - 153
Main Authors 和田, 哲治, 原渕, 保明, 佐藤, 遼介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2021
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.60.146

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Summary:2011年7月から2020年7月までに当科で手術加療を行った鼻副鼻腔内反性乳頭腫の18例について検討した。男性が14例,女性が4例で年齢の中央値は68歳であった。Krouse分類ではT1が2例,T2が4例,T3が11例,T4が1例であった。手術法としてはEndoscopic Sinus Surgery(ESS)単独が13例で,ESSと犬歯窩切開の併用が4例,ESSと鼻外前頭洞切開の併用が1例であった。鼻内内視鏡を施行した18例中2例(11%),CTを施行した18例中6例(33%),MRIを施行した16例中11例(69%)で術前に基部を推定できた。鼻内内視鏡,CT,MRIを組み合わせることにより18例中16例(89%)で術前に基部を推定できた。1例で術後の病理組織で扁平上皮癌の合併を認めた。追加治療は施行せずに経過観察しているが,術後1年5ヶ月時点で再発なく経過している。また1例で術後8ヶ月経過した後に扁平上皮癌として腫瘍の再発を認めた。しかし限局期に診断することができたことから,ESSと外側鼻切開を併用して完全切除することができた。本検討から複数の画像所見による術前の基部の推定と,再発や悪性化を念頭に置いた術後の注意深い経過観察が必要と考えられた。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.60.146