術前診断し単孔式腹腔鏡補助下手術を施行した小腸粘膜下動脈瘤破裂の1例

症例は16歳,男性.突然の大量下血にて当院に救急搬送された.腹部造影CTにて小腸からの動脈性出血が疑われ,血管造影検査にて,近位回腸枝動脈に血管外漏出を認め,塞栓術にて完全止血を得た.病変の検索目的に後日,小腸内視鏡を施行したが,病変部までは到達できず,カプセル内視鏡を施行したところ,小腸に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.待機的手術にて切除の方針とし,単孔式腹腔鏡補助下小腸切除術を施行した.病理組織学的所見では粘膜下に瘤化した動脈を認め,小腸動脈瘤の破裂と診断した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.小腸出血は全消化管出血の2-5%程度と報告されており,その中でも小腸動脈瘤破裂は極めて...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 5; pp. 1093 - 1097
Main Authors 稲木, 紀幸, 黒川, 勝, 伴登, 宏行, 北村, 祥貴, 太田, 尚宏, 山本, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1093

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Summary:症例は16歳,男性.突然の大量下血にて当院に救急搬送された.腹部造影CTにて小腸からの動脈性出血が疑われ,血管造影検査にて,近位回腸枝動脈に血管外漏出を認め,塞栓術にて完全止血を得た.病変の検索目的に後日,小腸内視鏡を施行したが,病変部までは到達できず,カプセル内視鏡を施行したところ,小腸に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.待機的手術にて切除の方針とし,単孔式腹腔鏡補助下小腸切除術を施行した.病理組織学的所見では粘膜下に瘤化した動脈を認め,小腸動脈瘤の破裂と診断した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.小腸出血は全消化管出血の2-5%程度と報告されており,その中でも小腸動脈瘤破裂は極めて稀な疾患である.術前検査が困難であり,出血源検索に難渋することが多いが,今回,血管造影・小腸内視鏡・カプセル内視鏡を併用することで術前に出血部位を診断し,低侵襲に切除しえた症例を経験したので,報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1093