子宮全摘術後の尿管による絞扼性イレウスの1例

症例は32歳,女性.子宮頸癌にて腹腔鏡下子宮全摘術の既往あり.腹痛,嘔吐にて当院受診.右下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部造影CTにて小腸の拡張,closed loopの形成を認めた.また,右尿管が拡張し右下腹部で途絶していた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行.右側骨盤内に索状物により絞扼された小腸を認めた.索状物が右尿管である可能性も疑ったが,絞扼は強く,解除するためには索状物を切離せざるを得ないと判断.絞扼を解除したが小腸は壊死しており,小腸部分切除術を施行.索状物は右尿管であることが判明し,尿管再建術も施行した.子宮全摘術の際に剥離された右尿管の背側に小腸が陥入し,絞扼性イレウスをき...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 2028 - 2031
Main Authors 富家, 由美, 三輪, 高也, 高瀬, 恒信, 矢口, 豊久, 野村, 尚弘, 田邊, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2028

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Summary:症例は32歳,女性.子宮頸癌にて腹腔鏡下子宮全摘術の既往あり.腹痛,嘔吐にて当院受診.右下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部造影CTにて小腸の拡張,closed loopの形成を認めた.また,右尿管が拡張し右下腹部で途絶していた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行.右側骨盤内に索状物により絞扼された小腸を認めた.索状物が右尿管である可能性も疑ったが,絞扼は強く,解除するためには索状物を切離せざるを得ないと判断.絞扼を解除したが小腸は壊死しており,小腸部分切除術を施行.索状物は右尿管であることが判明し,尿管再建術も施行した.子宮全摘術の際に剥離された右尿管の背側に小腸が陥入し,絞扼性イレウスをきたしたと考えられた.婦人科術後に剥離された尿管が原因となって絞扼性イレウスを発症した,極めて稀な症例であり文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2028