嚢胞性病変を呈した後腹膜平滑筋腫の1例

症例は76歳,女性.腹部大動脈瘤の経過観察中で定期的にCT検査を施行されており,2010年には3cm大の嚢胞性病変を後腹膜に指摘されていた.上腹部痛を自覚し近医を受診した際の腹部造影CT検査で,十二指腸水平部尾側の後腹膜に多量の内部血腫を伴う最大径13cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.嚢胞内出血を伴う後腹膜嚢胞性腫瘤と診断され,精査加療目的に当院へ紹介された.悪性の可能性を考慮し後腹膜腫瘍摘出術を施行した.摘出標本は最大径13cm大の嚢胞性腫瘍で,内部には液体成分が充満していた.病理組織学的検査で,内部に出血を伴った後腹膜平滑筋腫と診断された.術後経過は良好で第10病日に退院となった.後腹膜原発の平...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 7; pp. 1382 - 1387
Main Authors 平井, 公也, 平野, 敦史, 磯﨑, 哲朗, 岡﨑, 靖史, 篠藤, 浩一, 松尾, 憲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1382

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Summary:症例は76歳,女性.腹部大動脈瘤の経過観察中で定期的にCT検査を施行されており,2010年には3cm大の嚢胞性病変を後腹膜に指摘されていた.上腹部痛を自覚し近医を受診した際の腹部造影CT検査で,十二指腸水平部尾側の後腹膜に多量の内部血腫を伴う最大径13cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.嚢胞内出血を伴う後腹膜嚢胞性腫瘤と診断され,精査加療目的に当院へ紹介された.悪性の可能性を考慮し後腹膜腫瘍摘出術を施行した.摘出標本は最大径13cm大の嚢胞性腫瘍で,内部には液体成分が充満していた.病理組織学的検査で,内部に出血を伴った後腹膜平滑筋腫と診断された.術後経過は良好で第10病日に退院となった.後腹膜原発の平滑筋腫は稀であり,その多くが充実性腫瘍として報告されている.今回われわれは,嚢胞性病変を呈した後腹膜平滑筋腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1382