虫垂炎保存的加療症例に発生した絞扼性イレウスの1例

症例は虫垂炎に対して保存的治療歴のある85歳男性。腹痛を自覚し前医受診。開腹歴はないが,腹部CTで絞扼性イレウスの診断に至り当院に紹介され緊急手術の方針となった。開腹し腹腔内を観察すると,虫垂先端部が小腸間膜と癒着し,それにより形成された間隙に小腸が嵌頓している状態であった。同部腸管壁の色調変化を認めたため癒着部を剝離し絞扼を解除した。小腸の色調変化は絞扼解除によって改善したため腸切除は施行せず,絞扼帯の原因となった虫垂の切除を行い手術終了とした。急性虫垂炎における麻痺性イレウスや術後癒着性イレウスの報告は多いが,虫垂炎に関連した内ヘルニアによる絞扼性イレウスの報告はまれであるため,文献的考察...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1071 - 1074
Main Authors 立田, 協太, 西脇, 由朗, 宮﨑, 真一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1071

Cover

More Information
Summary:症例は虫垂炎に対して保存的治療歴のある85歳男性。腹痛を自覚し前医受診。開腹歴はないが,腹部CTで絞扼性イレウスの診断に至り当院に紹介され緊急手術の方針となった。開腹し腹腔内を観察すると,虫垂先端部が小腸間膜と癒着し,それにより形成された間隙に小腸が嵌頓している状態であった。同部腸管壁の色調変化を認めたため癒着部を剝離し絞扼を解除した。小腸の色調変化は絞扼解除によって改善したため腸切除は施行せず,絞扼帯の原因となった虫垂の切除を行い手術終了とした。急性虫垂炎における麻痺性イレウスや術後癒着性イレウスの報告は多いが,虫垂炎に関連した内ヘルニアによる絞扼性イレウスの報告はまれであるため,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1071