小腸穿孔をきたしたII型腸管症関連T細胞リンパ腫の1例

症例は59歳の男性.持続する発熱と貧血の精査で当院を受診,CT検査で7cm大の腹腔内腫瘤を認め悪性リンパ腫が疑われた.手術を予定していたが突然の腹痛にて当施設を受診,腹部MRI検査にて,腹水・腹腔内ガス像を認め穿孔性腹膜炎を疑い緊急手術を行った.手術では回腸に穿孔した腫瘍を認め,腫瘍を含む小腸を切除した.病理検査ではCD8,CD56陽性でtype II enteropathy associated T-cell lymphoma (EATL II)と診断した.術後に縫合不全を認め人工肛門造設術を行った.CHOP療法による化学療法を開始し最初は化学療法に反応したが4コースを終了した時点で増大傾向...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 2229 - 2233
Main Authors 崎村, 千恵, 河本, 真大, 阿古, 英次, 藤田, 茂樹, 呉, 幸枝, 妙中, 直之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2229

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Summary:症例は59歳の男性.持続する発熱と貧血の精査で当院を受診,CT検査で7cm大の腹腔内腫瘤を認め悪性リンパ腫が疑われた.手術を予定していたが突然の腹痛にて当施設を受診,腹部MRI検査にて,腹水・腹腔内ガス像を認め穿孔性腹膜炎を疑い緊急手術を行った.手術では回腸に穿孔した腫瘍を認め,腫瘍を含む小腸を切除した.病理検査ではCD8,CD56陽性でtype II enteropathy associated T-cell lymphoma (EATL II)と診断した.術後に縫合不全を認め人工肛門造設術を行った.CHOP療法による化学療法を開始し最初は化学療法に反応したが4コースを終了した時点で増大傾向を認めた.その後,GDP療法,自己末梢血幹細胞移植を行ったが合併症のため死亡した.EATL IIはまれで予後不良な疾患であり治療法は確立されていない.小腸穿孔に至ったEATL IIの1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2229