当院における超音波メス導入後の両側内胸動脈を用いた CABG 手術の早期および遠隔期成績

以前より内胸動脈(ITA)をはじめとする動脈グラフトによる冠動脈バイパス術(CABG)が長期予後を改善し,両側ITAによるCABGの優位性についても報告されている.当院では2001年4月に導入した超音波メスを用いてITAをfull skeletonizationにて採取し,両側ITAを積極的に使用している.そこで超音波メス導入後の2001年4月から2012年12月までの当施設における両側ITAを用いた単独CABG手術256例の手術成績を検討した.人工心肺を使用しないCABGは194例(On-pump CABGへのconversion 8例含む)で,緊急手術は38例であった.30日死亡は1例であ...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 307 - 311
Main Authors 田淵, 正樹, 山下, 暁立, 前田, 俊之, 井上, 聡巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.307

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Summary:以前より内胸動脈(ITA)をはじめとする動脈グラフトによる冠動脈バイパス術(CABG)が長期予後を改善し,両側ITAによるCABGの優位性についても報告されている.当院では2001年4月に導入した超音波メスを用いてITAをfull skeletonizationにて採取し,両側ITAを積極的に使用している.そこで超音波メス導入後の2001年4月から2012年12月までの当施設における両側ITAを用いた単独CABG手術256例の手術成績を検討した.人工心肺を使用しないCABGは194例(On-pump CABGへのconversion 8例含む)で,緊急手術は38例であった.30日死亡は1例であった.対象全256例中234例で術後2週間以内にグラフト造影を施行した.早期において10例(4.3%)にカテーテル治療や再CABGによる再冠血行再建を施行した.対象全256例の追跡調査について,全生存率および術後PCI回避率,再CABG回避率を調査した.さらに心臓死,急性心筋梗塞,心不全や脳梗塞による入院を心関連事故(MACE)として,術後MACE回避率を調査した.生存率は5年81.8%,10年72.6%であった.再CABG回避率は5年99.5%,10年は99.3%であり,術後PCI回避率は5年96.3%,10年95.2%であった.術後MACE回避率は5年90.3%,10年81.2%であった.当院における超音波メス導入後の両側ITAを用いたCABG手術の早期および遠隔期成績は満足のいくものであった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.307