肝細胞癌術後脾転移の1切除例

症例は58歳の男性で,肝細胞癌破裂に対して肝動脈塞栓術にて止血後,2006年4月に肝右葉切除術を施行した.その後AFP,PIVKA-IIの上昇および肝内の腫瘍性病変と脾臓内の腫瘍性病変を認めたため,精査加療目的に当科入院.肝細胞癌肝内再発および脾転移と術前診断し2010年2月に肝部分切除と脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査では肝細胞癌の肝内再発および脾転移と診断された.術後は肺転移,左副腎転移,残肝再発が出現.肺転移に対しては肺部分切除術,左副腎転移に対しては左副腎摘出術,残肝再発に対しては肝切除術と肝動脈塞栓術を施行し,脾転移術後より約3年が経過した現在,外来通院中である.肝細胞癌の脾転...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 7; pp. 499 - 504
Main Authors 辻村, 亨, 平野, 公通, 藤元, 治朗, 黒田, 暢一, 裴, 正寛, 鳥井, 郁子, 麻野, 泰包, 岡田, 敏弘, 田中, 肖吾, 飯室, 勇二, 鈴村, 和大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
Subjects
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.499

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Summary:症例は58歳の男性で,肝細胞癌破裂に対して肝動脈塞栓術にて止血後,2006年4月に肝右葉切除術を施行した.その後AFP,PIVKA-IIの上昇および肝内の腫瘍性病変と脾臓内の腫瘍性病変を認めたため,精査加療目的に当科入院.肝細胞癌肝内再発および脾転移と術前診断し2010年2月に肝部分切除と脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査では肝細胞癌の肝内再発および脾転移と診断された.術後は肺転移,左副腎転移,残肝再発が出現.肺転移に対しては肺部分切除術,左副腎転移に対しては左副腎摘出術,残肝再発に対しては肝切除術と肝動脈塞栓術を施行し,脾転移術後より約3年が経過した現在,外来通院中である.肝細胞癌の脾転移に対しては,他臓器病変がないか,もしくはコントロール可能な場合は脾臓摘出術を行うことにより長期的な予後が期待できる可能性があると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.499