食道癌分割手術経過中食道瘻周囲皮膚に発症した壊死性軟部組織感染症の1例

食道癌術後に連鎖球菌と黄色ブドウ球菌の混合感染による皮膚の壊死性軟部組織感染症を発症した症例を報告した.デブリドマンと強力な抗菌薬が奏効した.症例は80歳の男性,術前の上気道細菌検査で連鎖球菌,黄色ブドウ球菌などの保菌が確認された.第一期手術として右開胸開腹食道亜全摘・胸壁前胃管挙上,頸部食道瘻,胃瘻造設術を行った.術後1週に食道瘻周囲に軽度の炎症を認めた.術後5週には食道瘻周囲皮膚が壊死に陥り,次第に広がった.デブリドマンと陰圧閉鎖療法(VAC®)を行うも壊死の進行は止まらなかった.周囲に炎症を伴う広汎な壊死は皮膚と皮下組織に限局していた.皮膚の壊死性軟部組織感染症と診断し,術後8週から強力...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 1517 - 1523
Main Authors 徳永, 裕貴, 藤田, 博正, 満枝, 怜子, 大田, 修平, 藤家, 雅志, 田原, 正宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1517

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Summary:食道癌術後に連鎖球菌と黄色ブドウ球菌の混合感染による皮膚の壊死性軟部組織感染症を発症した症例を報告した.デブリドマンと強力な抗菌薬が奏効した.症例は80歳の男性,術前の上気道細菌検査で連鎖球菌,黄色ブドウ球菌などの保菌が確認された.第一期手術として右開胸開腹食道亜全摘・胸壁前胃管挙上,頸部食道瘻,胃瘻造設術を行った.術後1週に食道瘻周囲に軽度の炎症を認めた.術後5週には食道瘻周囲皮膚が壊死に陥り,次第に広がった.デブリドマンと陰圧閉鎖療法(VAC®)を行うも壊死の進行は止まらなかった.周囲に炎症を伴う広汎な壊死は皮膚と皮下組織に限局していた.皮膚の壊死性軟部組織感染症と診断し,術後8週から強力な抗菌薬を使用した.10日間程度の抗菌薬治療で,創部から連鎖球菌と黄色ブドウ球菌が消失すると共に皮膚壊死の進行も止まった.術後13週で第二期手術,食道胃吻合術を行い,術後17週で退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1517