特発性横行結腸穿孔の1例
症例は58歳,女性.仕事中に突然腹部全体の痛みを自覚し,救急車にて来院.腹部全体に及ぶ反跳痛,腹部CTで横行結腸壁の断裂と近傍の腸間膜内に空気の漏出を認め,横行結腸穿通に伴う汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹すると,混濁腹水を認め,脾湾曲部から10cm口側の横行結腸間膜が空気を含み緑色に膨隆しており,腸間膜への穿通所見と考えられた.穿通した横行結腸を切除し機能的端々吻合を行った.術後経過は良好で,第25病日に退院となった.本症例では肉眼的にも病理学的にも穿孔の原因病変は認められず,特発性横行結腸穿孔の診断に至った.特発性横行結腸穿孔の頻度は比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告す...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 7; pp. 1715 - 1719 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.77.1715 |
Cover
Summary: | 症例は58歳,女性.仕事中に突然腹部全体の痛みを自覚し,救急車にて来院.腹部全体に及ぶ反跳痛,腹部CTで横行結腸壁の断裂と近傍の腸間膜内に空気の漏出を認め,横行結腸穿通に伴う汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹すると,混濁腹水を認め,脾湾曲部から10cm口側の横行結腸間膜が空気を含み緑色に膨隆しており,腸間膜への穿通所見と考えられた.穿通した横行結腸を切除し機能的端々吻合を行った.術後経過は良好で,第25病日に退院となった.本症例では肉眼的にも病理学的にも穿孔の原因病変は認められず,特発性横行結腸穿孔の診断に至った.特発性横行結腸穿孔の頻度は比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.1715 |