径13mmで発見され増大経過を観察した肝粘液性嚢胞性腫瘍の1例

症例は59歳,女性.検診の腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され,当科を受診した.2カ月後の超音波検査およびCT検査では,肝S4に長径13mm大の小嚢胞が集簇した腫瘍を認めた.さらに,3カ月後の超音波検査およびCT検査では長径26mmと増大を認め,形態も内部隔壁を伴う多房性嚢胞に変化していた.肝粘液性嚢胞性腫瘍(以下,肝MCN)を疑い,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査では,腫瘍は粘液産生性上皮に覆われ卵巣間質様形態を呈する部分を認め,肝MCNと診断した.本疾患は,2010年WHO分類で胆管との交通を持たない粘液産生性嚢胞性腫瘍と定義され,近年報告が相次いでいるが,その発育形態は明らかではない...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1876 - 1881
Main Authors 島津, 元秀, 内, 雄介, 阿部, 紘大, 櫻川, 忠之, 丸山, 正太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1876

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Summary:症例は59歳,女性.検診の腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され,当科を受診した.2カ月後の超音波検査およびCT検査では,肝S4に長径13mm大の小嚢胞が集簇した腫瘍を認めた.さらに,3カ月後の超音波検査およびCT検査では長径26mmと増大を認め,形態も内部隔壁を伴う多房性嚢胞に変化していた.肝粘液性嚢胞性腫瘍(以下,肝MCN)を疑い,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査では,腫瘍は粘液産生性上皮に覆われ卵巣間質様形態を呈する部分を認め,肝MCNと診断した.本疾患は,2010年WHO分類で胆管との交通を持たない粘液産生性嚢胞性腫瘍と定義され,近年報告が相次いでいるが,その発育形態は明らかではない.本症例は発症早期に検診で偶然発見され,増大経過を確認できた稀な症例であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1876