腸重積をきたした盲腸リンパ管腫の1例

症例は73歳,男性.腹痛を主訴に当科受診.右下腹部に圧痛と筋性防御を認めた.腹部超音波検査では,右下腹部にtarget signを認め,腹部造影CTでは,盲腸を先進部とする腸重積を認めたため緊急手術となった.開腹すると盲腸が上行結腸に嵌入しており,腸重積であった.Hutchinson手技により重積を解除したが腸管に血流障害を認め,また盲腸に腫瘍性病変を触知したので,盲腸癌を疑い回盲部切除(D3郭清)を行った.切除標本では盲腸に,円形で境界明瞭な直径約3cmの隆起病変を認め,病理検査でリンパ管腫であった. リンパ管腫は,幼少期に頭頸部や腋窩に好発する良性腫瘍であり,腹腔内に生じるのは稀である.ま...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 9; pp. 2237 - 2240
Main Authors 上村, 志臣, 金古, 裕之, 近江, 亮, 三栖, 賢次郎, 真木, 健裕, 猪俣, 斉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2237

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Summary:症例は73歳,男性.腹痛を主訴に当科受診.右下腹部に圧痛と筋性防御を認めた.腹部超音波検査では,右下腹部にtarget signを認め,腹部造影CTでは,盲腸を先進部とする腸重積を認めたため緊急手術となった.開腹すると盲腸が上行結腸に嵌入しており,腸重積であった.Hutchinson手技により重積を解除したが腸管に血流障害を認め,また盲腸に腫瘍性病変を触知したので,盲腸癌を疑い回盲部切除(D3郭清)を行った.切除標本では盲腸に,円形で境界明瞭な直径約3cmの隆起病変を認め,病理検査でリンパ管腫であった. リンパ管腫は,幼少期に頭頸部や腋窩に好発する良性腫瘍であり,腹腔内に生じるのは稀である.また,成人の大腸重積で良性腫瘍が原因となることは比較的少なく,リンパ管腫が原因となることは極めて稀である.今回われわれは,腸重積をきたし回盲部切除を施行された盲腸リンパ管腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2237