鼻骨骨折治療におけるエコー使用の現状―当院及び関連施設の勤務医アンケートを通して

鼻骨骨折は日常診療で耳鼻咽喉科医がよく経験する疾患であり,徒手整復が広く行われている。しかしどの程度正確に整復できているかの判断は医師の主観となるため,その評価が難しい症例も経験する。近年,整復の程度を簡便かつ客観的に評価する方法として超音波検査(以下エコーと省略)の利用が報告されているが,一般的な手技となっていないのが現状である。今回,大阪大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科関連施設に勤務する耳鼻咽喉科勤務医に対してアンケート調査を行い,鼻骨骨折診療の現状について検討した。関連病院勤務医121名に対するアンケート調査で,61名から回答を得た。整復前後の評価にエコーを用いている医師は9名であった...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 59; no. 4; pp. 415 - 420
Main Authors 前田, 陽平, 津田, 武, 猪原, 秀典, 秋田, 佳名子, 神原, 留美, 端山, 昌樹, 芦田, 直毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2020
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.59.415

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Summary:鼻骨骨折は日常診療で耳鼻咽喉科医がよく経験する疾患であり,徒手整復が広く行われている。しかしどの程度正確に整復できているかの判断は医師の主観となるため,その評価が難しい症例も経験する。近年,整復の程度を簡便かつ客観的に評価する方法として超音波検査(以下エコーと省略)の利用が報告されているが,一般的な手技となっていないのが現状である。今回,大阪大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科関連施設に勤務する耳鼻咽喉科勤務医に対してアンケート調査を行い,鼻骨骨折診療の現状について検討した。関連病院勤務医121名に対するアンケート調査で,61名から回答を得た。整復前後の評価にエコーを用いている医師は9名であった。整復後に画像評価を行わない医師は50名に上り,その主な理由として35名が「外観での評価で十分である」と回答した。一方,整復に自信が持てていない医師が43名(70%)と高率であった。エコーを用いた整復について,28名(46%)の医師が知らないと回答した。市立吹田市民病院耳鼻咽喉科でエコーを用いた整復の経験のある医師に対し追加でアンケート調査を行い,7名の医師から回答を得た。7名中6名が自身にとって整復におけるエコーは有用と回答し,全員が経験の少ない医師に有用と考えていた。転勤後もエコー使用経験のある医師は4名であった。エコーを用いた鼻骨骨折整復の認知度が上昇することで,医師が自信をもってより正確に整復できるようになることを期待する。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.59.415