広範囲胆管癌に発生した混合型腺神経内分泌癌の1例

症例は75歳,男性.黄疸,全身倦怠感を主訴に近医を受診した.腹部CT検査で上部・下部胆管に腫瘤を認め,MRCPでは左右肝管分岐部から上部・下部胆管の陰影欠損を認めた.下部胆管の擦過細胞診でGroup V,腺癌であった.以上から肝門部ならびに下部胆管癌の診断で,経皮経肝門脈塞栓術を施行の上,肝右2区域切除+膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本で,乳頭状に発育する肝門部腫瘍と下部胆管の結節浸潤型の腫瘍は連続していた.病理組織学的には,肝門部腫瘍は,神経内分泌癌の診断であり,下部胆管腫瘍・胆管表層は腺癌の診断であった.以上より,組織学的に広範囲胆管癌に発生した混合型腺神経内分泌癌(胆道癌取扱い規約...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 1994 - 2000
Main Authors 伊藤, 誠司, 佐藤, 勤, 若林, 俊樹, 新保, 知規, 藤田, 正太, 太田, 栄, 提嶋, 眞人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1994

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Summary:症例は75歳,男性.黄疸,全身倦怠感を主訴に近医を受診した.腹部CT検査で上部・下部胆管に腫瘤を認め,MRCPでは左右肝管分岐部から上部・下部胆管の陰影欠損を認めた.下部胆管の擦過細胞診でGroup V,腺癌であった.以上から肝門部ならびに下部胆管癌の診断で,経皮経肝門脈塞栓術を施行の上,肝右2区域切除+膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本で,乳頭状に発育する肝門部腫瘍と下部胆管の結節浸潤型の腫瘍は連続していた.病理組織学的には,肝門部腫瘍は,神経内分泌癌の診断であり,下部胆管腫瘍・胆管表層は腺癌の診断であった.以上より,組織学的に広範囲胆管癌に発生した混合型腺神経内分泌癌(胆道癌取扱い規約第5版では腺内分泌細胞癌)と診断された.術後3カ月後の腹部CT検査で多発肝転移再発を認め,術後5カ月目に死亡した.病理解剖では,転移再発巣の腫瘍成分は神経内分泌癌成分であり腺癌の成分は確認されなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1994