特発性血小板減少性紫斑病を急性発症したC型肝硬変症例に対し集学的加療を行うことで生体肝移植を施行し得た1例

症例は43歳,女性.26歳時にHCV抗体陽性を指摘され,41歳時にC型肝硬変と診断される.2013年5月に肝機能増悪(Child-Pugh score:12点)を認めたため,同年8月に生体肝移植目的で当科入院となった.入院4日前からの歯肉出血の訴えがあり,入院時血小板数2000/μLと著明な減少を認めた.種々の検査にて骨髄内の巨核球数増加,血小板関連IgG(PAIgG)高値を認めたため,C型肝硬変に合併した特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断となった.免疫グロブリン大量療法及びRituximab点滴を施行したところ血小板数は75000/μLへと速やかに改善.予定通り治療開始9日後,生体肝移...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 6; pp. 296 - 302
Main Authors 市川, 辰樹, 日高, 匡章, 原口, 雅史, 宮明, 寿光, 柴田, 英貴, 三馬, 聡, 田浦, 直太, 高槻, 光寿, 徳満, 純一, 中尾, 一彦, 江口, 晋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
Subjects
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.296

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Summary:症例は43歳,女性.26歳時にHCV抗体陽性を指摘され,41歳時にC型肝硬変と診断される.2013年5月に肝機能増悪(Child-Pugh score:12点)を認めたため,同年8月に生体肝移植目的で当科入院となった.入院4日前からの歯肉出血の訴えがあり,入院時血小板数2000/μLと著明な減少を認めた.種々の検査にて骨髄内の巨核球数増加,血小板関連IgG(PAIgG)高値を認めたため,C型肝硬変に合併した特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断となった.免疫グロブリン大量療法及びRituximab点滴を施行したところ血小板数は75000/μLへと速やかに改善.予定通り治療開始9日後,生体肝移植及び脾摘術が施行され術後血小板数は20万/μLと良好に経過し現在観察中である.本邦では,生体肝移植前に急性発症したHCV感染合併ITP症例については報告例がなく,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.296