下行結腸まで陥入する腸重積を発症した虫垂粘液嚢胞腺癌の1例

症例は34歳,女性.左上腹部痛を主訴に来院した.造影CTで虫垂粘液嚢腫を先進部として下行結腸まで陥入した腸重積を認めた.注腸造影検査で腸重積は盲腸まで整復できたが,完全には整復できなかった.大腸内視鏡検査では盲腸に虫垂開口部を中心に隆起した粘膜下腫瘍を認めた.腹腔鏡補助下にて手術を開始した.腹腔内を観察すると腹水や腹膜播種はなく,脾臓・肝臓などの腹腔内臓器に病変を認めなかった.虫垂は盲腸へ陥入していた.術前の画像診断で嚢胞内に石灰化を伴う充実成分を認めたので悪性腫瘍の可能性を考慮して,腸重積を完全に整復しないまま回盲部切除D2リンパ節郭清を施行した.病理診断は虫垂粘液嚢胞腺癌であり,陥入鞘の盲...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 8; pp. 2220 - 2227
Main Authors 古角, 祐司郎, 上原, 徹也, 三浦, 晋, 石井, 正之, 浅利, 建吾, 長谷川, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.2220

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Summary:症例は34歳,女性.左上腹部痛を主訴に来院した.造影CTで虫垂粘液嚢腫を先進部として下行結腸まで陥入した腸重積を認めた.注腸造影検査で腸重積は盲腸まで整復できたが,完全には整復できなかった.大腸内視鏡検査では盲腸に虫垂開口部を中心に隆起した粘膜下腫瘍を認めた.腹腔鏡補助下にて手術を開始した.腹腔内を観察すると腹水や腹膜播種はなく,脾臓・肝臓などの腹腔内臓器に病変を認めなかった.虫垂は盲腸へ陥入していた.術前の画像診断で嚢胞内に石灰化を伴う充実成分を認めたので悪性腫瘍の可能性を考慮して,腸重積を完全に整復しないまま回盲部切除D2リンパ節郭清を施行した.病理診断は虫垂粘液嚢胞腺癌であり,陥入鞘の盲腸の筋層まで粘液の浸潤を認めていた.無理に整復した場合は粘液の漏出や播種を併発する可能性を否定できない.術後は経過良好で7日目に退院した.術後2年経過したが無再発で生存している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2220