門脈腫瘍栓を認めた膵頭部膵管癌の1例
通常型膵癌は門脈浸潤をきたすことが多いが,門脈腫瘍栓をきたすことは稀である.門脈腫瘍栓を認めた膵頭部膵管癌を経験したので報告する.症例は72歳の男性.発熱・嘔吐で受診した際,CTで主膵管への膵石嵌頓,尾側膵管の拡張を認めた.ERCPで主膵管と下部胆管の狭窄を認めたが,造影CT・EUSで膵頭部に腫瘤影は認めず,病理学的にも悪性所見を認めなかった.慢性膵炎による狭窄の診断で経過観察となった.2カ月後に閉塞性胆管炎を発症し再精査を行った際,CT・EUSで門脈内に腫瘤影を認めた.病理学的に確定診断は得られないも,膵頭部にFDG-PET CTでの集積とMRIでの拡散低下を認めたため,膵頭十二指腸切除術・...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 9; pp. 2303 - 2308 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2015
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.76.2303 |
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Summary: | 通常型膵癌は門脈浸潤をきたすことが多いが,門脈腫瘍栓をきたすことは稀である.門脈腫瘍栓を認めた膵頭部膵管癌を経験したので報告する.症例は72歳の男性.発熱・嘔吐で受診した際,CTで主膵管への膵石嵌頓,尾側膵管の拡張を認めた.ERCPで主膵管と下部胆管の狭窄を認めたが,造影CT・EUSで膵頭部に腫瘤影は認めず,病理学的にも悪性所見を認めなかった.慢性膵炎による狭窄の診断で経過観察となった.2カ月後に閉塞性胆管炎を発症し再精査を行った際,CT・EUSで門脈内に腫瘤影を認めた.病理学的に確定診断は得られないも,膵頭部にFDG-PET CTでの集積とMRIでの拡散低下を認めたため,膵頭十二指腸切除術・門脈合併切除術を施行した. 病理診断で膵実質内に広範囲に進展する高分化型腺癌を認めた.門脈壁浸潤を認め門脈内腫瘤は腫瘍栓であった. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.76.2303 |