C型肝硬変の夫の創傷手当が感染契機と思われるC型急性肝炎の1例

症例は63歳の女性.全身倦怠感と食欲不振が出現し当院を受診し,肝障害を指摘され入院した.その後の検査でHCV抗体中力価陽性,HCVRNA陽性および他のウイルスマーカー陰性であったためC型急性肝炎と診断された.輸液と安静による治療が開始されたが肝障害が遷延したため第66病日からペグインターフェロンα2a 180 μg/週が使用された.これによりトランスアミナーゼは改善し,第88病日に退院した.退院後,第93病日にはHCV-RNAの陰性化が得られた.感染源の検索のため詳細に病歴を聴取したところ,発症約3カ月前にC型肝硬変の夫が喧嘩で怪我をしその手当てをする際,夫の血液に濃厚に接触する機会があったこ...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 4; pp. 144 - 149
Main Authors 和久井, 紀貴, 杉山, 真也, 溝上, 雅史, 武田, 悠希, 大塚, 隆文, 小山, 洋平, 児島, 辰也, 大場, 信之, 住野, 泰清, 朝井, 靖二, 西中川, 秀太, 植木, 紳夫, 團, 宣博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.144

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Summary:症例は63歳の女性.全身倦怠感と食欲不振が出現し当院を受診し,肝障害を指摘され入院した.その後の検査でHCV抗体中力価陽性,HCVRNA陽性および他のウイルスマーカー陰性であったためC型急性肝炎と診断された.輸液と安静による治療が開始されたが肝障害が遷延したため第66病日からペグインターフェロンα2a 180 μg/週が使用された.これによりトランスアミナーゼは改善し,第88病日に退院した.退院後,第93病日にはHCV-RNAの陰性化が得られた.感染源の検索のため詳細に病歴を聴取したところ,発症約3カ月前にC型肝硬変の夫が喧嘩で怪我をしその手当てをする際,夫の血液に濃厚に接触する機会があったことが判明した.両者の血清を用いて分枝系統樹解析を行ったところ98.1%の相同性を認めたことから同一のHCV株と結論された.HCV陽性者の家族がいる場合,患者本人だけではなくその家族へも肝炎ウイルス感染に関する適切な説明が重要と思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.144