当科における耳下腺腫瘍の臨床統計

われわれは,過去5年間に手術を施行した耳下腺癌の99例を検討した。被験者は56人の男性と43人の女性であった。99例のうち,89例は良性腫瘍であり,10例は悪性腫瘍であった。病理診断は良性腫瘍では多形腺腫は48例,ワルチン腫瘍が28例であった。悪性腫瘍では唾液腺導管癌3例,腺様嚢胞癌2例,腺房細胞癌2例,粘表皮癌,筋上皮癌,扁平上皮癌1例であった。術前の穿刺吸引細胞診の結果を術後の病理所見と比較し,感度50%,特異度100%,正診率は94%であった。良性腫瘍に対しては耳下腺腫瘍摘出術を行った。患者は術前の穿刺吸引細胞診で悪性と診断されていたため,基本的には耳下腺全摘術は術前に穿刺吸引細胞診が行...

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Published in頭頸部外科 Vol. 23; no. 1; pp. 93 - 98
Main Authors 横井, 秀格, 唐帆, 健浩, 永藤, 裕, 小柏, 靖直, 中村, 健大, 守田, 雅弘, 茂呂, 順久, 甲能, 直幸, 山内, 宏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2013
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.23.93

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Summary:われわれは,過去5年間に手術を施行した耳下腺癌の99例を検討した。被験者は56人の男性と43人の女性であった。99例のうち,89例は良性腫瘍であり,10例は悪性腫瘍であった。病理診断は良性腫瘍では多形腺腫は48例,ワルチン腫瘍が28例であった。悪性腫瘍では唾液腺導管癌3例,腺様嚢胞癌2例,腺房細胞癌2例,粘表皮癌,筋上皮癌,扁平上皮癌1例であった。術前の穿刺吸引細胞診の結果を術後の病理所見と比較し,感度50%,特異度100%,正診率は94%であった。良性腫瘍に対しては耳下腺腫瘍摘出術を行った。患者は術前の穿刺吸引細胞診で悪性と診断されていたため,基本的には耳下腺全摘術は術前に穿刺吸引細胞診が行われた患者に行った。永久標本での結果にて注意深く経過観察する症例や追加治療を行う症例も存在した。一過性顔面神経不全麻痺は4.4%,唾液瘻は2.2%,Frey症候群は0%であった。術後に悪性腫瘍の再発は認められなかった。悪性腫瘍の経過観察の中央値は2年であった。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.23.93