腹腔鏡下切除術を施行した肝円索平滑筋腫の1例

症例は44歳,男性.検診の腹部超音波検査で肝腫瘍を疑われた.CT/MRIでは胃粘膜下腫瘍を疑われEUS-FNAを計画した.しかし,腫瘍と胃壁との連続性が確証できないためFNAを施行せず,診断を兼ねた腹腔鏡手術を施行した.術中所見は,腫瘍は肝円索内に存在し胃壁や肝との非連続性を確認したため腹腔鏡下肝円索切除術を施行した.標本は被膜に覆われた43mm大,表面平滑も凹凸不整,一部黄色部を伴う白色調充実性腫瘍であり,内部出血や壊死像は認めなかった.H.E.染色では紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色ではKIT陰性,desmin陽性,S-100蛋白陰性,CD34弱陽性,SMA弱陽性,Ki67 10%未満であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 9; pp. 1916 - 1921
Main Authors 太和田, 昌宏, 久米, 真, 操, 佑樹, 市川, 賢吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1916

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Summary:症例は44歳,男性.検診の腹部超音波検査で肝腫瘍を疑われた.CT/MRIでは胃粘膜下腫瘍を疑われEUS-FNAを計画した.しかし,腫瘍と胃壁との連続性が確証できないためFNAを施行せず,診断を兼ねた腹腔鏡手術を施行した.術中所見は,腫瘍は肝円索内に存在し胃壁や肝との非連続性を確認したため腹腔鏡下肝円索切除術を施行した.標本は被膜に覆われた43mm大,表面平滑も凹凸不整,一部黄色部を伴う白色調充実性腫瘍であり,内部出血や壊死像は認めなかった.H.E.染色では紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色ではKIT陰性,desmin陽性,S-100蛋白陰性,CD34弱陽性,SMA弱陽性,Ki67 10%未満であったため,平滑筋腫と診断した.肝円索平滑筋腫は稀な疾患であり,本症例のごとく肝・胃腫瘍との鑑別を要することもある.原発臓器不明ならFNAを施行せず,診断を兼ねた腹腔鏡手術を選択するのが安全と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1916