直腸癌術後の縫合不全を契機に発症した感染性仮性動脈瘤の1例

40代,女性.血便と臀部痛を主訴に来院し,下部直腸癌(cStage IIIb)と診断され,腹腔鏡下超低位前方切除術,および両側側方リンパ節郭清術を施行した.術後第2病日から経口栄養剤を開始したが,腹痛と発熱,ドレーン排液の混濁を認め,縫合不全の診断にて腹腔洗浄ドレナージおよび横行結腸人工肛門造設術を施行した.再手術後4日目にドレーンから血性排液があったため,腹部造影CTを施行したところ,骨盤腔内に仮性動脈瘤を認めた.血管造影にて,内腸骨動脈領域に仮性動脈瘤を認め,塞栓術を施行した.その後徐々に回復し,初回手術から40日目に退院した.側方リンパ節郭清を伴う直腸癌手術では,縫合不全に伴う感染を伴っ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1747 - 1751
Main Authors 虎島, 泰洋, 黒木, 保, 山下, 万平, 江口, 晋, 井上, 悠介, 藤田, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1747

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Summary:40代,女性.血便と臀部痛を主訴に来院し,下部直腸癌(cStage IIIb)と診断され,腹腔鏡下超低位前方切除術,および両側側方リンパ節郭清術を施行した.術後第2病日から経口栄養剤を開始したが,腹痛と発熱,ドレーン排液の混濁を認め,縫合不全の診断にて腹腔洗浄ドレナージおよび横行結腸人工肛門造設術を施行した.再手術後4日目にドレーンから血性排液があったため,腹部造影CTを施行したところ,骨盤腔内に仮性動脈瘤を認めた.血管造影にて,内腸骨動脈領域に仮性動脈瘤を認め,塞栓術を施行した.その後徐々に回復し,初回手術から40日目に退院した.側方リンパ節郭清を伴う直腸癌手術では,縫合不全に伴う感染を伴った場合,仮性動脈瘤形成の可能性があることを念頭に置く必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1747