三腔解離により急速拡大した B 型慢性解離性大動脈瘤に対して TEVAR を施行したマルファン症候群の1例

84歳,女性.マルファン症候群と診断されており,濃厚な家族歴を有していた.59歳時に大動脈弁輪拡張症に対するBentall手術,80歳時に急性B型大動脈解離を発症し,以後,腹部大動脈置換術,全弓部置換術を施行されていた.84歳時に背部痛をきたし,近位下行大動脈に生じた新たな内膜亀裂による三腔解離と急速拡大を認めた.症状が持続し,高齢であることから,ステントグラフト内挿術(TEVAR)によるエントリー閉鎖を施行した.術後CTで偽腔内への順行性の血流は認めず,両腔吻合されていた腹部人工血管置換術の中枢側吻合部からの逆行性血流を認めるのみであった.術後4年の現在,下行大動脈の拡大は認めていない.マル...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 133 - 136
Main Authors 上原, 京勲, 佐々木, 啓明, 西山, 正行, 清家, 愛幹, 松田, 均, 井上, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.50.133

Cover

More Information
Summary:84歳,女性.マルファン症候群と診断されており,濃厚な家族歴を有していた.59歳時に大動脈弁輪拡張症に対するBentall手術,80歳時に急性B型大動脈解離を発症し,以後,腹部大動脈置換術,全弓部置換術を施行されていた.84歳時に背部痛をきたし,近位下行大動脈に生じた新たな内膜亀裂による三腔解離と急速拡大を認めた.症状が持続し,高齢であることから,ステントグラフト内挿術(TEVAR)によるエントリー閉鎖を施行した.術後CTで偽腔内への順行性の血流は認めず,両腔吻合されていた腹部人工血管置換術の中枢側吻合部からの逆行性血流を認めるのみであった.術後4年の現在,下行大動脈の拡大は認めていない.マルファン症候群患者に対するTEVARの適応は限られるが,高齢患者の場合には選択肢の1つになりえると思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.50.133