術前に診断しえた子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

子宮広間膜裂孔ヘルニアは,全内ヘルニアの中でも数%と非常にまれな病態であり,特異的な所見に乏しいことから術前診断がつかないことが多い。今回われわれは,術前にて子宮広間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し手術を施行した1例を経験したので報告する。症例は40代女性。下腹部痛,嘔吐にて当院救急外来に紹介受診となった。腹部造影CTにて骨盤内の拡張した小腸ガス像と子宮の左頭側に収束する小腸腸間膜像などを認め,子宮広間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスが疑われ同日緊急手術となった。開腹したところ小腸壊死を認めたため30cm切除した。術後経過は良好で第10病日に退院となった。開腹歴のないイレウス症例で...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 1071 - 1074
Main Authors 小網, 博之, 伊佐, 勉, 伊志嶺, 朝成, 亀山, 眞一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.1071

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Summary:子宮広間膜裂孔ヘルニアは,全内ヘルニアの中でも数%と非常にまれな病態であり,特異的な所見に乏しいことから術前診断がつかないことが多い。今回われわれは,術前にて子宮広間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し手術を施行した1例を経験したので報告する。症例は40代女性。下腹部痛,嘔吐にて当院救急外来に紹介受診となった。腹部造影CTにて骨盤内の拡張した小腸ガス像と子宮の左頭側に収束する小腸腸間膜像などを認め,子宮広間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスが疑われ同日緊急手術となった。開腹したところ小腸壊死を認めたため30cm切除した。術後経過は良好で第10病日に退院となった。開腹歴のないイレウス症例では,内ヘルニアを鑑別診断にあげることが重要であり,腸切徐を避けるためにも診断的治療として,早期より腹腔鏡下手術を行うことも有用であると考えられる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.1071