心臓構造からみた心外起源心室頻拍の可能性

心外に頻拍起源の存在する心室頻拍が成立するためには,少なくとも(1)心外心筋(頻拍起源)の存在と(2)心外心筋と心室筋を構造的・電気的に結ぶ心筋(伝導路)の存在が必要である.この心室頻拍の存在を肯定し,その機序を大血管への心筋迷入と推測する報告が散見される.しかしながら,解剖学的に大動脈壁あるいは肺動脈壁に頻拍起源あるいは伝導路となる心筋の迷入は観察されない.確かに,大動脈洞あるいは肺動脈洞内でアブレーション治療可能な心室頻拍は存在するが,頻拍機序を大動脈壁あるいは肺動脈壁内への心筋迷入としなくても,通常の大血管基部・流出路接合部構造の特殊性で十分に説明が可能である.大動脈洞あるいは肺動脈洞周...

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Published in心電図 Vol. 30; no. 5; pp. 466 - 471
Main Author 井川, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2010
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.30.466

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Summary:心外に頻拍起源の存在する心室頻拍が成立するためには,少なくとも(1)心外心筋(頻拍起源)の存在と(2)心外心筋と心室筋を構造的・電気的に結ぶ心筋(伝導路)の存在が必要である.この心室頻拍の存在を肯定し,その機序を大血管への心筋迷入と推測する報告が散見される.しかしながら,解剖学的に大動脈壁あるいは肺動脈壁に頻拍起源あるいは伝導路となる心筋の迷入は観察されない.確かに,大動脈洞あるいは肺動脈洞内でアブレーション治療可能な心室頻拍は存在するが,頻拍機序を大動脈壁あるいは肺動脈壁内への心筋迷入としなくても,通常の大血管基部・流出路接合部構造の特殊性で十分に説明が可能である.大動脈洞あるいは肺動脈洞周囲には,流出路心筋が伸展し複雑な様相を呈している.本項では,大血管基部構造を詳細に観察することにより,心外起源心室頻拍成立の可能性について提示する.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.30.466