嚢胞壁粘膜弁を使用した副鼻腔嚢胞開窓術

副鼻腔嚢胞の多くは,内視鏡下手術により嚢胞が含気化され治癒状態となる。しかし,嚢胞サイズが小さいものや骨隔壁を有する例などでは,開窓部が術後に狭窄して病変が再燃することがある。術後狭窄を予防するために,開窓部の骨切除端を粘膜で被覆する方法が広く用いられている。有茎粘膜弁として,嚢胞外の粘膜を使用する方法(鼻腔側粘膜弁)と嚢胞上皮を使用する方法(嚢胞壁粘膜弁)の2種類があるが,嚢胞壁粘膜弁について過去に詳細な報告はない。鼻腔側粘膜弁が使用できない症例や術後狭窄が予想される小病変では,嚢胞壁粘膜弁を用いており,その作成法と有用性を報告する。代表的な2症例を示す。症例1は嚢胞化したOnodi蜂巣によ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 586 - 590
Main Authors 飯田, 政弘, 山本, 光, 関根, 基樹, 金田, 将治, 斎藤, 弘亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.56.586

Cover

More Information
Summary:副鼻腔嚢胞の多くは,内視鏡下手術により嚢胞が含気化され治癒状態となる。しかし,嚢胞サイズが小さいものや骨隔壁を有する例などでは,開窓部が術後に狭窄して病変が再燃することがある。術後狭窄を予防するために,開窓部の骨切除端を粘膜で被覆する方法が広く用いられている。有茎粘膜弁として,嚢胞外の粘膜を使用する方法(鼻腔側粘膜弁)と嚢胞上皮を使用する方法(嚢胞壁粘膜弁)の2種類があるが,嚢胞壁粘膜弁について過去に詳細な報告はない。鼻腔側粘膜弁が使用できない症例や術後狭窄が予想される小病変では,嚢胞壁粘膜弁を用いており,その作成法と有用性を報告する。代表的な2症例を示す。症例1は嚢胞化したOnodi蜂巣による鼻性視神経症の症例である。サイズが非常に小さく,大きな開窓部の作成が困難であった。また鼻腔側粘膜の浮腫が強く,鼻腔側粘膜弁を作成できなかった。開窓時に嚢胞壁を温存して,微細な器具を用いて嚢胞壁粘膜弁を作成し骨切除端を被覆した。症例2は,術後性上顎嚢胞例である。鼻涙管に隣接した位置に嚢胞が位置しており,鼻腔側粘膜弁の作成が困難であった。症例1と同様に嚢胞壁粘膜弁を作成し,開窓部の骨切除端を被覆した。2症例とも開窓部は良好に維持されている。嚢胞壁粘膜弁の作成法とその有効性について述べた。嚢胞壁粘膜弁を作成するためには,繊細な手術操作が必要であり,頭蓋底手術や喉頭手術用器具の使用が有用である。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.56.586