集学的治療により救命し得たClostridium perfringensによる肝膿瘍の2例

症例1は50歳男性.微熱,下痢,倦怠感と意識障害のため当科を紹介受診した.溶血,肝障害,腎障害を合併しており,膿瘍内容のグラム染色にてClostridium perfringens(以下C. perfringens)によるガス産生性肝膿瘍と考えられた.抗菌薬および透析,血漿交換,エンドトキシン吸着にて容態は改善し,第38病日に退院した.症例2は77歳女性.発熱,嘔吐と意識障害のため当科紹介受診した.溶血,肝障害,腎障害を合併しており,膿瘍内容のグラム染色にてC. perfringensによるガス産生性肝膿瘍と考えられた.集学的治療にて容態は改善し,第28病日に退院した.C. perfringe...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 2; pp. 105 - 114
Main Authors 佐藤, 昌則, 田村, 文人, 保木, 寿文, 加藤, 淳二, 久保, 智洋, 桜田, 晃, 河野, 豊, 石川, 和真, 小船, 雅義, 宮西, 浩嗣, 田中, 信悟, 高田, 弘一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.105

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Summary:症例1は50歳男性.微熱,下痢,倦怠感と意識障害のため当科を紹介受診した.溶血,肝障害,腎障害を合併しており,膿瘍内容のグラム染色にてClostridium perfringens(以下C. perfringens)によるガス産生性肝膿瘍と考えられた.抗菌薬および透析,血漿交換,エンドトキシン吸着にて容態は改善し,第38病日に退院した.症例2は77歳女性.発熱,嘔吐と意識障害のため当科紹介受診した.溶血,肝障害,腎障害を合併しており,膿瘍内容のグラム染色にてC. perfringensによるガス産生性肝膿瘍と考えられた.集学的治療にて容態は改善し,第28病日に退院した.C. perfringensによる肝膿瘍は急激な経過をたどることが多く,死亡率が極めて高い.グラム染色による短時間での起因菌の推定により,集学的治療の早期介入が救命に寄与したものと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.105