膿胸に対する胸腔ドレナージによる肺損傷で手術を要した2症例

【症例1】81歳男性.呼吸苦を主訴に受診.COPDの既往あり,胸部CT検査では右肺下葉肺野での浸潤影と右胸腔内での膿瘍腔を認めた.胸腔ドレナージが施行され,右下葉への肺内挿入となった.全身状態を考慮し待機的に開胸による気管支鏡併用で膿胸掻爬,胸膜剥皮を行った.術後は集中治療管理を行い,全身状態の改善を認めた.【症例2】80歳男性.胸膜炎にて他院で入院加療中,膿胸へと増悪し加療目的に転院.胸部CT検査では左胸腔内に膿瘍腔と左下葉無気肺所見を認めた.胸腔ドレナージが施行され,左下葉への肺内挿入となった.緊急で体外式膜型人工肺併用による開胸膿胸掻爬,肺縫縮術を行った.術後は速やかに炎症反応と呼吸症状...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 371 - 376
Main Authors 安田, 幸司, 恩田, 禎子, 佐々木, 将貴, 岸本, 彩奈, 山口, 智之, 森脇, 義弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.371

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Summary:【症例1】81歳男性.呼吸苦を主訴に受診.COPDの既往あり,胸部CT検査では右肺下葉肺野での浸潤影と右胸腔内での膿瘍腔を認めた.胸腔ドレナージが施行され,右下葉への肺内挿入となった.全身状態を考慮し待機的に開胸による気管支鏡併用で膿胸掻爬,胸膜剥皮を行った.術後は集中治療管理を行い,全身状態の改善を認めた.【症例2】80歳男性.胸膜炎にて他院で入院加療中,膿胸へと増悪し加療目的に転院.胸部CT検査では左胸腔内に膿瘍腔と左下葉無気肺所見を認めた.胸腔ドレナージが施行され,左下葉への肺内挿入となった.緊急で体外式膜型人工肺併用による開胸膿胸掻爬,肺縫縮術を行った.術後は速やかに炎症反応と呼吸症状の改善を認めた.【まとめ】今回我々は胸腔ドレーンによる医原性肺損傷で手術治療を要した2症例を経験した.肺損傷では既往や肺の病態に応じた術式選択や対応の工夫が必要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.371