正常肝の同一亜区域内に混合型肝癌と細胆管細胞癌が同時に存在した1例
症例は75歳女性.健診で肝腫瘍を指摘され,受診した.造影超音波検査,Dynamic CT,Gd-EOB-DTPA MRI,血管造影検査で,肝S5に20 mm(腫瘍A)と11 mm(腫瘍B)の腫瘍を認めた.早期相で腫瘍Aは辺縁が濃染,腫瘍Bは全体が濃染,門脈相から平衡相にかけて共に濃染が持続した.肝内胆管癌や細胆管細胞癌等を考え,肝内側区域+前腹側区域切除を行った.病理診断は腫瘍Aが混合型肝癌,腫瘍Bが細胆管細胞癌であり,非癌部は正常肝であった.細胆管細胞癌は原発性肝癌取り扱い規約第6版では独立した肝癌であるが,WHO分類2010では肝幹細胞からの発生を考慮され混合型肝癌のsubtypeとして分...
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          | Published in | 肝臓 Vol. 60; no. 6; pp. 179 - 188 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本肝臓学会
    
        01.06.2019
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| Subjects | |
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| ISSN | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI | 10.2957/kanzo.60.179 | 
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| Summary: | 症例は75歳女性.健診で肝腫瘍を指摘され,受診した.造影超音波検査,Dynamic CT,Gd-EOB-DTPA MRI,血管造影検査で,肝S5に20 mm(腫瘍A)と11 mm(腫瘍B)の腫瘍を認めた.早期相で腫瘍Aは辺縁が濃染,腫瘍Bは全体が濃染,門脈相から平衡相にかけて共に濃染が持続した.肝内胆管癌や細胆管細胞癌等を考え,肝内側区域+前腹側区域切除を行った.病理診断は腫瘍Aが混合型肝癌,腫瘍Bが細胆管細胞癌であり,非癌部は正常肝であった.細胆管細胞癌は原発性肝癌取り扱い規約第6版では独立した肝癌であるが,WHO分類2010では肝幹細胞からの発生を考慮され混合型肝癌のsubtypeとして分類されている.本症例の様に正常肝の同一亜区域内に混合型肝癌と細胆管細胞癌が同時に存在した例は極めて稀であり発生学的見地からみても貴重な症例と考えられたので報告する. | 
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI: | 10.2957/kanzo.60.179 |