虫垂炎を契機に発見された虫垂原発sessile serrated adenoma/polypの1例

症例は61歳,女性.数日持続する右下腹部痛を主訴に近医受診.虫垂炎の疑いにて保存的治療を受けるも症状改善せず,腹部超音波検査にて回盲部膿瘍を疑われたため当院紹介となった.受診時右下腹部に手拳大・弾性硬な有痛性腫瘤を認め,同部位に限局した腹膜刺激症状を認めた.血液検査にて炎症反応亢進,CTにて回盲部周囲に炎症波及を伴う腫瘤性病変を認めた.虫垂炎による膿瘍形成を疑い緊急手術を施行した.回盲部は一塊の腫瘤を形成し,剥離時に膿と共に粘液の排出を認めたため腫瘍性病変を考え,回盲部切除・D2リンパ節郭清を施行した.摘出標本において回盲部漿膜側に膿瘍を認め,虫垂は膿瘍壁に連続していた.病理組織学的検査で虫垂...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1727 - 1732
Main Authors 丹羽, 秀樹, 竹田, 利弥, 谷, 卓, 金本, 斐子, 石井, 要, 八木, 雅夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1727

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Summary:症例は61歳,女性.数日持続する右下腹部痛を主訴に近医受診.虫垂炎の疑いにて保存的治療を受けるも症状改善せず,腹部超音波検査にて回盲部膿瘍を疑われたため当院紹介となった.受診時右下腹部に手拳大・弾性硬な有痛性腫瘤を認め,同部位に限局した腹膜刺激症状を認めた.血液検査にて炎症反応亢進,CTにて回盲部周囲に炎症波及を伴う腫瘤性病変を認めた.虫垂炎による膿瘍形成を疑い緊急手術を施行した.回盲部は一塊の腫瘤を形成し,剥離時に膿と共に粘液の排出を認めたため腫瘍性病変を考え,回盲部切除・D2リンパ節郭清を施行した.摘出標本において回盲部漿膜側に膿瘍を認め,虫垂は膿瘍壁に連続していた.病理組織学的検査で虫垂末端にsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)が認められた. 虫垂原発SSA/Pは極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1727