肛門管GISTの1例

内肛門括約筋より発生したと考えられるgastrointestinal stromal tumor(以下GIST)の1例を経験したので報告する.患者は60代,女性.会陰部の違和感としこりを主訴に受診した.11時方向の肛門近傍の皮下にくるみ大の弾性硬の腫瘤を触知した.皮膚表面の変化は認めず,直腸肛門の視触診と肛門鏡では肛門管と直腸の粘膜や内腔に異常所見は認めなかった.画像検査では会陰部皮下に30mm大の筋肉と等濃度の境界明瞭な腫瘤を認めたが,病変の由来は同定できなかった.切除生検目的で経皮的に腫瘤摘出術を施行したところ,腫瘤は深部で肛門括約筋に連続しており摘出時に組織の一部が分割切除になった.切除...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 7; pp. 1757 - 1763
Main Authors 山田, 武男, 浅野, 功治, 小松, 健一, 藤田, 敏忠, 貝塚, 真知子, 小林, 義典, 濱口, 實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1757

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Summary:内肛門括約筋より発生したと考えられるgastrointestinal stromal tumor(以下GIST)の1例を経験したので報告する.患者は60代,女性.会陰部の違和感としこりを主訴に受診した.11時方向の肛門近傍の皮下にくるみ大の弾性硬の腫瘤を触知した.皮膚表面の変化は認めず,直腸肛門の視触診と肛門鏡では肛門管と直腸の粘膜や内腔に異常所見は認めなかった.画像検査では会陰部皮下に30mm大の筋肉と等濃度の境界明瞭な腫瘤を認めたが,病変の由来は同定できなかった.切除生検目的で経皮的に腫瘤摘出術を施行したところ,腫瘤は深部で肛門括約筋に連続しており摘出時に組織の一部が分割切除になった.切除標本の病理組織検査で内肛門括約筋由来のGISTと診断した.臨床的に再発高リスク群相当であり,術後イマチニブによる補助化学療法を行っているが,術後14カ月経過した現在,再発徴候なく生存中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1757