ステイプル除去で改善した腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術後の難治性疼痛の1例

当院では,1995年7月の開院以来,900側以上の腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を施行している.非常に稀であるステイプルに関連した難治性疼痛を経験し,ステイプル除去のみで改善したので報告する.患者は46歳,男性.右鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡下ヘルニア根治術(totally extraperitoneal repair:以下,TEP法)を施行し,合併症なく術後3日目に退院した.しかし,術後2週間目より右鼠径部痛が出現し,鎮痛剤を内服したが改善しなかった.疼痛部位は限局していたため,トリガーポイント注射による短時間の疼痛管理は可能となった.長時間の疼痛管理は困難なため,初回手術より5カ月後にステイプル...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 1104 - 1109
Main Authors 成本, 壮一, 林, 賢, 宗像, 康博, 関, 仁誌, 佐近, 雅宏, 田上, 創一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1104

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Summary:当院では,1995年7月の開院以来,900側以上の腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を施行している.非常に稀であるステイプルに関連した難治性疼痛を経験し,ステイプル除去のみで改善したので報告する.患者は46歳,男性.右鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡下ヘルニア根治術(totally extraperitoneal repair:以下,TEP法)を施行し,合併症なく術後3日目に退院した.しかし,術後2週間目より右鼠径部痛が出現し,鎮痛剤を内服したが改善しなかった.疼痛部位は限局していたため,トリガーポイント注射による短時間の疼痛管理は可能となった.長時間の疼痛管理は困難なため,初回手術より5カ月後にステイプル除去術を行った.除去後,疼痛は改善し再燃を認めなかった.現在,当院では吸収性ステイプルを使用しているが,ステイプル関連痛は認めていない.今後の症例の蓄積に期待したい.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1104